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命を救う熱傷ケアの極意|救急救命士のための熱傷対応アップデート

外傷
記事の結論
  • 熱傷には表皮まで傷害が及んだもをⅠ度熱傷、真皮まで傷害が及んだものをⅡ度熱傷、皮下組織まで傷害及んだものをⅢ度熱傷。
  • 成人で15〜20%、小児で10%以上の熱傷がある場合は速やか(2時間以内)にショック輸液の実施が必要。
  • 輸液量はParkland(Baxter)の公式24時間の総輸液量を「4ml/kg/%TBSA」として算出。
  • 注意すべき熱傷に「気道・顔面熱傷」、「Ⅱ度熱傷が30%以上」、「Ⅲ度熱傷が10%以上」。

この記事は、熱傷患者に遭遇した際の迅速かつ効果的な対応方法を網羅しています。

熱傷ガイドラインに基づき、現場で直面する様々な熱傷事例に対する詳細なケーススタディと、実践に基づいた応急処置の手順を提供。

救命士としての専門性をさらに高め、患者の生存率を向上させるための必読の内容です。

熱傷の受傷機転と原因

熱傷の受傷機転と原因

熱傷とは、お湯や火炎などの熱により皮膚・生体の変化をいいます。

熱傷は皮膚では70℃の温度に暴露された場合は約1秒、60℃では約10秒で受傷。

また、44℃の温度でも6〜7時間暴露されると低温熱傷をきたします。

female paramedic
female paramedic

低温でも長時間暴露されると熱傷を起こすんだね!

qqyoshi
qqyoshi

そうだよ!乳幼児はや高齢者は皮膚が弱いからさらに短い時間で熱傷になるよ!

熱傷に原因は様々どのように受傷したか聴取が必要になります。

以下は熱傷の原因をまとめた表になります。

熱傷原因
高温液体による熱傷熱湯 ミルク スープ 油など
火炎による熱傷
(気道熱傷含む)
火災 炎など
高温個体による熱傷
化学損傷(熱傷)
ストーブ 調理器具 車のマフラーなど
酸 アルカリ 重金属 毒ガスなどの化学物質
電撃傷ジュール熱 電気スパーク アーク放電
雷撃傷落雷
その他放射線 摩擦熱 紫外線
熱傷の原因

熱傷の病態を詳しく

熱傷の病態
Bitly

熱傷には表皮まで傷害が及んだもをⅠ度熱傷、真皮まで傷害が及んだものをⅡ度熱傷、皮下組織まで傷害及んだものをⅢ度熱傷と言います。

Ⅰ度浅達性Ⅱ度深達性Ⅱ度Ⅲ度
傷害組織表皮表皮に近い
部分に止まる
皮下組織に近い
部分まで影響
真皮前層
皮下組織
初見紅潮水泡形成
びらん
水泡形成
びらん
壊死
症状疼痛
熱感
強い疼痛
知覚鈍麻
強い疼痛
近く鈍麻
無痛
熱傷の深度と症状
皮膚の構造

Ⅰ度熱傷

Ⅰ度熱傷は表皮熱傷とも言われ、表皮のみが傷害。

初見としては「発赤のみ」で、疼痛、熱感の症状がみられます。

1度熱傷

Ⅱ度熱傷

Ⅱ度熱傷は、表皮に近い部分に止まる「浅達性Ⅱ度熱傷」と、皮下組織に近い部分にまで熱の影響が及んでいる「深達性Ⅱ度熱傷」に分類。

2度熱傷

浅達性Ⅱ度熱傷

浅達性Ⅱ度熱傷の所見は水泡形成、びらんが特徴的です。

また、症状として強い疼痛、知覚鈍麻が挙げられます。

深達性Ⅱ度熱傷

深達性Ⅱ度熱傷も同様の症状がみられます。

ピンプリックテスト(pin prick test)・針刺法

清潔な細い注射針(22G)を用いて、熱傷部位を軽く突っつきます。表在性Ⅱ度熱傷では疼痛がありますが、深在性Ⅱ度熱傷やⅢ度熱傷では神経が熱によって障害されているため、痛みがありません。

Ⅲ度熱傷

Ⅲ度熱傷は真皮前層、皮下組織まで傷害が及んだ状態。

所見は皮膚が壊死し白色光沢、羊皮紙様疼痛がないことが特徴的です。

3度熱傷

注意すべき熱傷

注意すべき熱傷

注意すべき熱傷に「気道・顔面熱傷」、「Ⅱ度熱傷が30%以上」、「Ⅲ度熱傷が10%以上」があります。

重症熱傷
引用:第10版 救急救命士標準テキスト「熱傷」

気道熱傷とは気道に及ぶ熱傷を呼び、咽頭・喉頭〜気管・気管支の上気道熱傷と、肺胞・細気管支の下気道熱傷に分類。

上気道熱傷では浮腫による気道閉塞、下気道熱傷では急性呼吸促迫症候群(ARDS)をきたします。

また、広範囲熱傷+気道熱傷を合併すると、熱傷単独よりも多くの輸液が必要。

気道熱傷を疑う所見
気道熱傷を疑う所見

熱傷の重症度を表した「アルツの基準」を参考にすると、「Ⅱ度熱傷30%以上」、「Ⅲ度熱傷10%以上」、「顔面、手、足の熱傷」、「気道損傷合併」、「軟部組織損傷、骨折合併」があります。

アルツの基準とは、熱傷面積、熱傷深度に加え、熱傷部位や合併症を考慮。

引用:第10版 救急救命士標準テキスト「熱傷」

熱傷指数(burn index:Bi)

熱傷指数は、1/2×Ⅱ度熱傷面積(%)×3度熱傷面積(%)で算出され、10以上は重傷。

引用:第10版 救急救命士標準テキスト「熱傷」

救急隊の活動

救急隊の活動

熱傷の面積が10%未満であれば熱傷部位を10〜15分の冷却を実施しましょう。

冷却方法は熱傷部位に直接水を当てるのではなく、洗面器やバケツなどを使用しましょう。

male paramedic
male paramedic

蛇口からの水を直接当てると表皮剥離してしまうよ!

熱傷傷病者に関しても、活動の基本は変わりません。

まずは、接触時に初期評価 → 生理学的評価 → 熱傷(受傷部位)の程度評価になります。

出典:財団法人救急振興財団「平成15年度 救急搬送のおける重症度・緊急度判断基準作成委員会報告書」

活動中に必要があれば、「L&G宣言」や「ショック輸液」、「保温」など必要な処置を実施。

qqyoshi
qqyoshi

気道熱傷を疑う状況や所見があれば即搬送!

female paramedic
female paramedic

プライマリーサーベイでは基本的に衣服の着脱、冷却は実施しないことに注意してね!

Airway:気道呼吸苦の有無 嗄声 喘鳴 咽頭痛
Breathing:呼吸熱い煙や蒸気を吸った、または環境に居た
口腔内・鼻腔内の焦げやスス
顔面熱傷
呼吸音の確認
Circulation:循環橈骨動脈微弱 CRTが2秒以上
Dysfunction of CNS:意識意識障害があれば、低酸素血症、一酸化炭素中毒、その他の有毒ガス、循環血液量減少性ショックを疑う
Exposure:体温冷却、衣服の着脱、異物の除去などを行わず保温
救急隊が実施する初期評価

気道熱傷が疑われれば早期の酸素投与を開始し、呼吸に異常があればBVMでの人工呼吸。

また、胸部に全周囲性熱傷がある場合、拘束性喚起障害を合併する可能性があるので人工呼吸の準備が必須になります。

出典:厚生労働省「熱傷

救命士が実施する熱傷性ショックに対する輸液

成人で15〜20%、小児で10%以上の熱傷がある場合は速やか(2時間以内)にショック輸液を実施する必要があります。

輸液が遅れてしまうと、ショックに陥るだけではなく、急性腎不全の合併率が高くなり傷病者の予後に大きく影響

初期輸液が必要な患者
  • 熱傷面積が成人で15%TBSA以上、小児で熱傷面積が10%TBSA以上。
  • 熱傷面積が明らかに>20%TBSA
male paramedic
male paramedic

熱傷の傷病者にどれくらいの輸液が必要なの?

現在広く知られているのが、Parkland(Baxter)の公式24時間の総輸液量を「4ml/kg/%TBSA」として算出する方法。

しかし、過剰輸液により腹部コンパーメント症候群や肺水腫などの合併症が確認できています。

過剰輸液は腹部・四肢のコンパーメンと症候群の誘因となるだけではなく、臓器障害を引き起こし予後を悪化させることから、輸液量に関して検討されています。

名称方法
Parkland(Baxter)乳酸リンゲル液「4ml/kg/%burn」
半分を最初の8時間、残りを次の16時間で投与
Modified Brooke乳酸リンゲル液「2ml/kg/%burn」
半分を最初の8時間、残りを次の16時間で投与
Evans生理食塩水「1ml/kg/%burn + 血漿1ml/kg/%burn + ブドウ糖液2,000ml
Brooke生理食塩水「1.5ml/kg/%burn + 血漿0.5ml/kg/%burn + 5%ブドウ糖液2,000ml
ABLS速度熱唱面積計算前の開始速度:500ml/hr
熱傷面積計算後:乳酸リンゲル2ml/kg/%burn(高電圧電撃傷の場合は4ml/kg/%burn)の半分を最初の8時間で、残りの半分を16時間で投与。但し、時間尿量が2時間連続で指標尿量(0.5ml/kg/hr、高電圧電撃傷の場合は1ml/kg/hr)より多い/少ない場合は、輸液速度を1/3ずつ減らす/増やす。
引用:熱傷「成人傷病者に対する一般的な初期輸液の方法(初期24時間の輸液)」

体重70kgで熱傷面積が50%(Ⅱ度熱傷)がある場合…
4ml×70kg×50%burn=14,000ml(24時間)

qqyoshi
qqyoshi

つまり、最初の8時間で半分の7,000mlの投与が必要ってことだよ!

male paramedic
male paramedic

病院に搬送するまでにかなりの量の輸液が必要だね!

主要参考・引用文献

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