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救急救命士が知っておきたい乳幼児熱性痙攣の基礎知識と注意点!

小児熱性痙攣の記事 意識障害
小児熱性痙攣の記事
記事の重要ポイント!
  • 発熱時に痙攣を起こし、脳炎や髄膜炎、中毒などといった原因がない場合を“熱性痙攣”。
  • よくある熱性痙攣は38.0℃以上、好発年齢が2〜3歳、5分以内。
  • 発熱後24〜36時間以降に痙攣を認める場合は熱性痙攣ではない可能性がある。
  • 痙攣が5分以上継続、2回以上の発作が起こって意識が回復しない場合は重積発作。
  • 痙攣や意識障害が継続している場合は、瞳孔散大、対光反射の消失または鈍い。
  • ウイルス性腸炎に伴う無熱性痙攣に注意。
  • バイタル測定と併せて運動麻痺の有無、瞳孔所見を確認。
  • 意識障害が継続、低血糖の疑いがある場合は血糖測定を考慮。

救急出動でよく遭遇する症状として、乳幼児の熱性痙攣があります。

救急隊が現着すると、痙攣が治っていることがほとんどであまり重症感を感じさせない救急要請です。私も救急隊になったばかりの時は「自分たちで近くの病院を受診してほしい」と思ったこともあります。

しかし、初めて痙攣を目の当たりにした時は絶対に救急要請した方がいいと感じるほど、顔が青紫色になっていたのを今でも覚えています。

熱性痙攣の多くは自然に治癒しますが、適切な注意や治療が必要な場合があります。しかし、乳幼児の痙攣では熱を伴わない場合もあります。

上記以外でも痙攣について救急隊が知るべき知識が多数あります。今回は乳幼児の痙攣について記事をまとめました。

乳幼児熱性痙攣はどんな病気?

  • よくある熱性痙攣は38.0℃以上、好発年齢が2〜3歳、5分以内。
  • 発熱後24〜36時間以降に痙攣を認める場合は熱性痙攣ではない可能性がある。
  • 強直性痙攣は四肢と体幹の筋肉が持続的に収縮し、上下肢を伸展し弓形の姿勢。
  • 間代性痙攣は拮抗筋の間の筋の収縮と弛緩を繰り返し、四肢をガクガクと曲げ伸ばしをする状態。
  • 痙攣や意識障害が継続している場合は、瞳孔散大、対光反射の消失または鈍い。

発熱時に痙攣を起こし、脳炎や髄膜炎、中毒などといった原因がない場合を“熱性痙攣”と言います。

発育途上の幼弱な脳神経細胞が急な体温の変化に弱いために起こります。

熱性痙攣は“単純型”と“複雑型“の2つに分類。

  • 単純型熱性痙攣
    1. 発熱38.0℃以上で誘発
    2. 好発年齢は2〜3歳(一般的には1〜5歳までの疾患)
    3. 全身性強直性痙攣または間代性痙攣
    4. 左右差なく時間は5分以内
    5. 家族歴があることが多い
  • 複雑型熱性痙攣
    1. 年齢が1歳未満、5歳以上
    2. 発熱が38.0℃未満
    3. 痙攣の持続時間が15分以上
    4. 24時間以内に2回以上反復または1年間で5回以上、総計で10回以上起こる場合
    5. 痙攣が全身両側性ではなく、左右差あり、痙攣後麻痺が残る
    6. 精神運動発達に遅れがある

多くの痙攣は発熱から24時間以内に発症することが多く、発熱後24〜36時間以降に痙攣を認める場合は熱性痙攣ではない可能性があるので注意が必要。

熱性痙攣の予後は良好で、痙攣が治った際には傾眠傾向を取ることが多くなっています。

痙攣の種類には“強直性痙攣”、“間代性痙攣”があります。

強直性痙攣の特徴として、四肢と体幹の筋肉が持続的に収縮し、上下肢を伸展し弓形の姿勢

間代性痙攣の特徴として、拮抗筋の間の筋の収縮と弛緩を繰り返し、四肢をガクガクと曲げ伸ばしをする状態

痙攣重積発作

痙攣が5分以上継続、2回以上の発作が起こって意識が回復しない場合は重積発作と判断します。

qqyoshi
qqyoshi

救急隊が現場に到着し痙攣が継続してれば“重積発作”と判断だね!

手足を固くして突っ張る、ピクつくだけが痙攣ではない!

熱性痙攣の症状として“強直性痙攣”、“間代性痙攣”があることを説明しました。

中でも強直性痙攣では、意識消失、両目が上転し痙攣が始まります。発作中は呼吸が停止するため、急速にチアノーゼが出現。

交感神経系は緊張し、血圧上昇、頻脈、瞳孔散大の所見が見られます。

痙攣や意識障害が継続している場合は、瞳孔散大、対光反射の消失または鈍くなっています。

qqyoshi
qqyoshi

痙攣がなくても意識障害と瞳孔散大があれば痙攣発作は継続してる判断するよ!

発熱症状がない無熱性痙攣に注意!

この記事で紹介する無熱性痙攣として“ウイルス性腸炎に伴う無熱性痙攣”になります。

保育園の通い始めると園を通じて、流行病などに罹患しやすくなります。最近SNSを確認した際に「腸炎」「痙攣」というワードが多く引っかかったので紹介します。

胃腸炎関連の痙攣は生後6ヶ月〜3歳頃の乳幼児に多くみられます。

熱性痙攣とは違い、38.0℃以上の発熱がないにも関わらず痙攣を起こします。痙攣を起こす前の前駆症状として下痢や嘔吐が挙げられます。

38.0℃以上の発熱を伴わない痙攣は、ウイルス性腸炎に伴う無熱性痙攣の可能性があるので保育園などでの流行、お腹を痛がったりしていないか、消化器症状がないかチェックしましょう。

救急救命士が熱性痙攣の患者を対応する際の注意点!

  • 救急隊の現着時、痙攣が続いている場合は重積発作と判断。
  • 痙攣発作が原因の外傷に注意する。
  • バイタル測定と併せて運動麻痺の有無、瞳孔所見を確認。
  • 意識障害が継続、低血糖の疑いがある場合は血糖測定を考慮。

接触時、痙攣が継続または痙攣後であったとしても酸素投与を必須のため必ず実施しましょう。前述した通り、接触時に痙攣が継続しているのであれば痙攣重積発作と判断。

観察としてはバイタル測定と運動麻痺の有無、意識がない場合は瞳孔所見を確認しましょう。

ペンライトを使用しての対光反射の確認、大きいな声での呼びかけは痙攣を誘発する可能性があるので注意が必要です。

瞳孔所見を確認する際は、ペンライを当てるのでなく傷病者の目を手で覆い、数秒後に自然光で瞳孔径が変化したかを確認しましょう。

qqyoshi
qqyoshi

自然の光を利用することで、ペンライトの刺激を与えず瞳孔を確認できるね!

救急隊の現場活動で注意すべき点として、痙攣が原因で外傷という二次的損傷を伴っている可能性にも注意が必要です。

意識障害が継続、低血糖の疑いがある場合は血糖測定を考慮。血糖測定の実施年齢はないため実施して大丈夫です。判断に迷う場合は医師から指示を仰ぎましょう。

低血糖については「低血糖の症状と対処法!救急救命士が現場実施する特定行為について!」を参考にしてください。

参考:「第10版 救急救命士標準テキスト」

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